こんにちはescapeです。
昨日は、ネットフリックスで配信している映画「浅草キッド」を観てみました。
これは、ご存知のようにビートたけしさんの若かりし頃の修行時代の物語です。
私も恐らく、10代後半頃にビートたけしが売れてる時期に小説で読みました。
当時、読んだ印象としてはこのレベルの人でも下積み期間とは一定あるものなのだ
と思ったりもしました。今は、芸人というのは恐らく誰かの下で修行などをしなくてもそれなり
に劇場などやお笑いの学校などに所属しながら花が開いている方も結構いるのではない
でしょうか。
場合によっては、youtubeなどでも発信したりしながらと。しかしながら、昭和の芸人さん
というのは、割と師匠格の人に付きながらキャバレーなども回りながら下積みを重ねていく
というパターンが多かったのではないでしょうか。
確か、当時とんねるずが素人から師匠格をもたないでやっているというのを聞いて
こういう出方もあるのかというのを知ったくらい
でした。だから、今もとんねるずは弟子をとらないと公言しているようなのですが。
手品師は、意外と今でもちょっとした飲み屋で営業もしているようで、数年前に普通の
居酒屋さんでも営業をしている手品師さんに会った事がありました。
ビートたけしは、私の時代よりもまだ古い世代なので当時は芸人になる言ってもそもそも
どういう道をたどればというのもなかった時代でしょう。この映画は、主人公はビートたけし
なのですが、基本的には師匠の深見千三郎という人にスポットをあて流れていきます。
この辺は、以前ブログでも紹介した「トキワ荘の青春」と似たところがあります。
深見千三郎という人は基本テレビにも出るような芸人さんではなく
浅草のフランス座というストリップ小屋を経営しながら自身も
幕間のコントをしていた人でした。どちらかというと、吉本新喜劇のようなことを
していたのでしょう。たけしが、何故この人の下で修行をしようと思ったのかは
不明なのですが、一応欽ちゃんや東八郎などもこの人に師事して売れていったようです。
この師匠が、いわゆる芸の基本とはとか師匠としての振る舞いなどを伝えているところが
この映画の良さです。少々、柳楽優弥がたけしの真似をしながら演じているのですが、そこは
オリジナルで良かった気がするのですが・・。最初、何もできないエレベーターボーイのたけしに
芸の一つもできない人は舞台に立たせないという方針の下、師匠がタップダンスを少し披露
します。
それをたけしが、見よう見まねで練習して少しずつ上達し、それができた頃に舞台にあげるよう
になります。昔は、色んな意味で研修やマニュアルがない分、「見て覚えろ」という事が非常に
多くありました。料理人の世界でも基本そのような事です。私は基本、人に物を教えるというのは
こういう事で良いのではないかと思います。今は、何でも手取り足取りというのは返って本人を
だめにする教育ではないでしょうか。
そこを見よう見まねで覚え、そこからオリジナルの物に発展していくように思います。
この辺のマニュアル主義が主になるようになり始めてから日本の教育がダメになってきて
経済的にも衰退をし始めてきたのではないかと思います。
話は戻りますが、師匠の経営するフランス座も経営的には厳しいものの、必ず師匠が
弟子などに対してお金がなくともご馳走をしたりするところは、師匠としての心意気
だけは忘れないような形でしています。服もちゃんとしたものを着ろと注意などもして
いたりもします。この辺は経営者につながる部分もあるのではないでしょうか。単に
赤字だから給与を下げたり賞与を出さないということでは、人はなかなかついていかない
のではないでしょうか。この師匠は、そんな厳しい場面でもやりくりして出している所が
素晴らしいです。当然、来ているお客もコントをメインに来ている訳ではないのですから、
お客の素行も悪かったりしていますし、客席もガラガラです。そんな中、師匠のつき刺さる
言葉として「笑われるのでなく笑わせろ」という言葉をたけしに嘆きます。ここでコント
をしている笑いの矜持ではないでしょうか。突き詰めれば、「客に媚びるな」という事
でしょう。私は、サラリーマンをこれにあてはめると「会社に媚びるな」ということを思って
しまいます。
一時期人気になった半沢直樹もこの辺の媚びない部分と正論で押していくところが人気に
なったのでしょうが、裏を返せば人気になるという事はほとんどの人がその逆で過ごして
いるという事なのでしょう。私自身はそもそもサラリーマンに向いていない人材でも有り、
ほとんど「媚びる」事をしないので、今までも何回か干された状態にはなっていますが・・。
ただ、そういう矜持すなわちプライドは持って働く事も良いのではないでしょうか。
確かに周りの輪を乱す事にも繋がるので、全ての人におすすめはしませんが、そんな人
が少数でも会社にいた方が私はプラスになるのではと思います。全てが、イエスマン
ばかりの会社はどうでしょうか・・皆さん。
最後は、師匠もたけしが売れていくのを喜ばしくは応援しているのですが、それを表面に出さない
ようにと師匠としての矜持をもっている部分も良いところです。
やはり、こういう基礎というかベースをしっかり叩き込まれた事が、今でも一線でやれている
土台なのではないでしょうか。なんでも、土台をもっている人は強いものです。
是非、お時間のある方は一度観てみることをお薦めいたします。
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