こんにちは、escapeです。
週末に少し時間ができたので、久々にDVDをTSUTAYAさんで借りてみました。
フラッと立ち寄った店で目に留まったのが「トキワ荘の青春」でした。この映画は1996年に
公開されたようで、これのデジタルリマスター版として昨年出されていたようです。
近くのマックに寄り(マクドナルドも久々に寄りました)ポテナゲセットという「ポテト」と「チキ
ンナゲット」のいかにも高カロリーなメニューをテイクアウトし、近くのスーパーで定番の
「サッポロビール」の瓶ビールを購入し軽い「晩酌セット」で帰宅した次第です。
「トキワ荘」というのは、ご存知方も多い事かと思いますが赤塚不二夫、石ノ森章太郎、藤子不二雄
など今は巨匠となった漫画家の卵時代に一緒に過ごしたアパートになります。
当然、この方達の師匠格は手塚治虫なのですが、手塚治虫も一時期は一緒にいましたがいち早く出て
しまっています。当然、まだ他の漫画家は売り出す手前でありましたが、すでに手塚治虫は売れてい
ましたのでそのような状況になります。トキワ荘時代に関する漫画やドラマなどは過去に何作もあり
ました。私も以前、藤子不二雄の「まんが道」というのは読んだ事があるので、当時の苦労話などは
ある程度知っていました。では、何故借りたのかというと「主人公」がこの作品は違うと思ったから
です。今までは、藤子不二雄や赤塚不二夫のようなメジャーになった漫画家さんの視点で描かれたも
のがほとんどです。この作品においては「寺田ヒデオ」というお兄さん格の人が主人公です。
私が漫画にはまっていた頃よりも、もう一世代前の漫画家ではありますが私自身はこの方の作品は
正直読んだ事がありません。主に野球漫画を描いていたようです。しかしながら、藤子不二雄などの
トキワ荘話にも必ずこの寺田さんがでてきます。すごく人間のできたお兄さん的な印象を私も持って
いました。映画でも元シブがき隊(というより俳優業の方が有名)の本木雅弘が演じていました。
寺田さん本人をみたことがないですが、どこか漫画などで見たイメージとぴったりくるとこもあり、
キャスティングは正解ではないでしょうか。
映画自体は特に大きな事件が起きるわけでもなく、日常を四季を通して描いているという印象です。
舞台は昭和30年代後半あたりから皆、四畳半~三畳の狭い部屋で食事なんかもキャベツなどあまりお
金のかからなものを食べながら、必死に漫画を描いているという形です。当時の雰囲気もでていまし
た。そもそも、この時代に手塚治虫に憧れたという形で皆上京などしてきていますが、まだ漫画とい
うジャンルも確立しておらず、その中で自分の漫画が世に受け入れられるかわかからない中でこれに
かけていくという情熱は素晴らしいものではないかと思います。出版社が倒産するようなシーンもで
てくる中、皆「これで食べていけるのだろうか」という不安を抱えながら作品を作っていくというの
は大変なことだと思います。中には挫折してアパートを出ていくものもいたりもしました。今であれ
ば、絵の技法なども参考とするものが多い中、それもない中でというのは大変です。さらに、それよ
り前のパイオニアである手塚治虫という人は本当天才なのだと思います。
皆より少し売れていた、それでもそんなに余裕のあるわけでない寺田さんがある時は漫画の相談に
のったり、ある時は家賃や食費に苦慮している漫画家にお金をあげていたりと本当に面倒見の良い人
なんだと思います。これは、まんが道などを読んでいても藤子不二雄なども世話になったように
書かれていました。
しかし、この寺田さんも自分の作品が段々商業主義的な内容に変える事を編集などにも指摘され、
自分が書きたいものを世に送りだせない部分と食べていくという部分での「狭間」が描かれてい
ました。
これは、会社に所属していると自分の方針と違ったり、あまり自分では良いと思わないものを販売さ
せられたり、しかしながら「食べていかないといけない」という「狭間」で揺れているサラリーマン
は多くいるのではないでしょうか。そんな、寺田さんもアパートを出る時がきて、その後は80年代位
からほぼ断筆していたようです。
きっと、色々な商業主義的なものが受け入れられなかったのででしょうか。
今よりはるかに環境も悪く、業界自体もできないところに「情熱」と「夢」でチャレンジをして
このアパートで過ごした青春時代というのは、私からみても凄く羨ましく思います。自分はなんと
自堕落な生活を送った青春時代だろうと恥ずかしくなる思いが映画を観た後に残りました・・・。
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