こんにちは、escapeです。
プロレスもシリーズ化をしてきましたが、前回の記事はこちらから。
前回、猪木氏がモハメドアリと試合をする話をしました。
とにかく、馬場さんが正統派プロレスというラインですが、猪木さんは
周りが驚くような事をやっていきます。そのスケールが非常に大きい事が特徴で
もあり、皆を魅了していく魅力でもあります。
当時プロレスはナンバーワン格闘技という話は、プロレスの業界内での話の事です。
世間的には格闘技の頂点というのは、プロボクシングでした。それも、ボクシングの頂点は
ヘビー級というのが一般的な認識です。当時は、まだ階級や団体も少なく世界チャンピオン
というのは僅かな人しかなれていません。
当然、体格的にも日本人であればヘビー級という選手はいません。
その現役のヘビー級チャンピオンをプロレスのリングにあげるという事は、どれだけハードル
のある事か・・。ましてや、猪木さんというのは当時海外では「東洋人のレスラーの1人」という
認識位しかありません。馬場さんは、すでに海外でも活躍しており認知度も違いました。
この試合以降も、一部ボクサーでプロレスと試合をする人も現れましたが、
基本は皆ボクサーを引退してからなのです。現役のしかもヘビー級のチャンピンというのは、
とてつもない事です。普通のヘビー級のボクシングの試合を日本でするだけでも難しい
時代でもあります。
最初に、アリ側も受け入れられないという事を前提に法外なファイマネーの要求がありました。
18億円という莫大な金額です。因みに、東京武道館での試合ですが当時リングサイド席は
30万円したそうです。しかも、今から50年近く前なので今の金額にしたら少なくとも
倍以上の価値はあるでしょう。しかし、猪木さんは、この条件をのむのです。当然、これが
原因になり新日本プロレスは借金だらけになりますが・・。当初、アリ側もエキシビジョンマッチ
位しかとらえておらず、アリ側が猪木と試合をするメリットは当時お金以外はなかったはずです。
そして、この時はお昼頃にテレビで放映をされていましたが、瞬間最高視聴率は50%を越えて
いました。全世界でも放映され14億人が観たと言われ、一部この放映権料などからもファイトマネー
は支払われているのです。それでも、大きく借金は残ります。
そして、ルールについても大枠は決まっていたようですが、猪木さんの練習
を見て、かなりアリ側が真剣試合になる事を危惧して試合の直前までルールで揉めていました。
そして、最後はほぼプロレスの技が封印された状況の中、このルールをのまないと試合放棄をして
帰るという話も出た位です。当然、試合がなければ莫大な賠償請求も発生する事から、すべての
ルールを猪木サイドはのむことになりました。そのような経緯やルールがあまり告知されていない
事から試合後の批判が大きく出たのも事実です。今では、総合格闘技という事でプロレスラーが
参加の場合どのように闘うのかというのは、ある程度形はありますが当時はそういう概念もない中、
この試合は始まってしまいます。いわゆる、最初から引き分けなどのブックはないとされていますが
、結果的には15ラウンドの末引き分けとなりました。逆にお互い勝敗がつかなかったのも良かったの
でしょう。猪木さんは終始寝そべりながらアリにキックを放つという、試合自体は単調なものに
みえますが、後に大人になり再度この試合のビデオを観た時に猪木もアリも必要以上
に汗をかいているのがわかります。
お互いが立っている時も、間合いが詰められない張り詰めた空気が終始流れていきま
す。猪木もグランドに倒したチャンスもありましたが、きめきれませんでした。逆に、アリから軽い
ジャブをもらっただけで、頭にたんこぶができたと言われています。しかし、猪木の寝そべりながら
放ったキックは100発以上あると言われ、当初アリも効いていないアピールをしていましたが、最終
的には内出血のように腫れあがりました。その後、血栓症で入院してこれによって選手寿命が短く
なったとも言われています。猪木さんも見た目よりも、あの寝そべっている体勢からキックを
15ラウンド出し続けるのは相当な体力がかかるはずです。
そんな事もあり、試合後は「世紀の凡戦」や「茶番劇」という事でマスコミに大きくバッシングされ
酷評されました。これは、さながら今でいえばプーチン大統領のバッシングに近いようなものです。
しかしながら、今はこの試合の評価は相当高く、当時何もない中でこのルール下の中で試合
をしたことが称賛に値されています。
逆に見る側も知識がないので、どのように観れば良かったのかが掴めなかったのではない
でしょうか。猪木さん自身もこの時は自殺も考えたほど、落ち込んだようではありますが
その辺も並みのメンタルではない人なので乗り越えられたのではないでしょうか。
それでも、言い訳はせずルールなどの件もあまり条件が悪くというのは口外していなかった
ようです。恐らく、プロレスとして「見せる」部分がしっかりできないところと勝敗という
決着もつけられなかったという事が世間の批判よりも自分で納得ができなかったのでは
ないでしょうか。という形で、異種格闘技というのはある程度、真剣さを追求していくと
このように噛み合わないものになるのではないでしょうか。
恐らく、馬場さんもこの試合や猪木さんの動きなどを見て、プロレスというフィールド
を飛び出さないようにしようと考えたのではないでしょうか。
いずれにしても、この借金と酷評はありましたが「アリと闘った男」という知名度やブランドは
構築ができ、その後の政治活動でも役に立った事を思えば「お金に変えられない財産」を手に入れた
事になったと思います。~つづく~
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